女性の転職で後悔しないために【元人事が採用現場で見てきた本音】

「転職したら前より悪くなった」

この言葉を、転職後の女性から何度聞いたかわかりません。

産休が取りにくい。時短勤務の実態が違った。女性管理職が一人もいない。

求人票に書いてなかったことが、入ってから次々と出てくる。

その理由を、元人事として正直に言います。

採用担当者が女性応募者に「聞けないこと」がある

年間500人以上と面接してきた私が、正直に明かします。

女性の転職者に対して、採用担当者が心の中で気にしていることが、法律上聞けない質問として存在します。

「結婚の予定は?」「子どもは?」「育休後に戻ってきますか?」

これらは差別的な質問として禁止されていますが、採用担当者の頭の中にはあります。

そしてその「聞けない不安」が、採用の可否に影響することが現実にはあります。表立って聞けない分、面接官はその不安を別の質問に置き換えて確認しようとすることがあります。「長期的にキャリアをどう考えていますか」「今後、働き方について変化する予定はありますか」といった、遠回しな聞き方がそれにあたります。

遠回しな質問の裏側にある意図

こうした質問をされたとき、身構える必要はありませんが、意図を理解しておくと答えやすくなります。面接官が本当に知りたいのは「この人はうちで長く働き続けてくれるか」という一点です。プライベートな予定そのものではなく、「働き続ける意思があるかどうか」を確認したいだけ、というケースがほとんどです。

そのため、答え方としては「現時点での予定」を詳細に話す必要はなく、「長期的にこの仕事に取り組みたいと考えています」という意思を明確に伝えることが、双方にとって建設的だと感じています。

女性が転職で本当に損している理由

一般の転職エージェントは、女性特有の事情を深くヒアリングしません。

育休の取りやすさ、時短勤務の実態、女性管理職の比率。これらを確認せずに紹介された求人に応募して、入社後に後悔するケースを私は何度も見てきました。

求人票の「女性活躍中」「ライフイベント対応可」という言葉は、実態を保証しません。こうした言葉は、法律で使用を義務付けられているわけでも、第三者の審査を受けているわけでもなく、企業が自由に記載できる表現です。そのため、同じ言葉を使っていても、実態には企業ごとに大きな差があります。

採用担当者として言える本音は、「表に出ている情報と実態は違うことがある」です。「女性活躍中」と書きながら、実際には育休から復帰した社員が数名しかいない、というケースも一般的にはあり得ます。

求人票だけでは見えない情報の見分け方

面接の場で確認できることもあります。「現在、時短勤務をされている社員の方は何名くらいいらっしゃいますか」「育休から復帰された方の中で、管理職に就かれた方はいらっしゃいますか」といった、具体的な人数や実例を尋ねる質問です。

この質問に対して、面接官がすぐに具体的な人数や事例を答えられるかどうかは、一つの判断材料になります。曖昧な回答しか返ってこない場合は、実態として整備が進んでいない可能性を考慮する必要があるかもしれません。

女性専門エージェントを使うことの本当の意味

女性専門のエージェントは、企業の実態情報を持っています。

「この会社は育休後の復職率が高い」「実際に時短勤務で昇進した例がある」

そういった情報を、求人票では知れません。専門エージェントのネットワークで初めてわかります。専門特化型のエージェントは、企業の人事担当者と継続的に関係を築いていることが多く、公開情報だけでは得られない実態を把握しているケースが一般的には多いとされています。

転職で後悔しないために必要なのは、求人票を見比べることではなく、実態情報を持っている人に聞くことです。特に、出産や育児といったライフイベントを見据えている場合、入社してから初めて実態を知るのではなく、入社前にできる限り実態に近い情報を集めておくことが、後悔を減らす近道になると考えています。

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転職エージェントは相性による部分も大きいため断言はできませんが、サポート体制や求人の幅という観点で検討する価値があるサービスとして以下を紹介します。

面接で聞いておくべき「働き方」の具体的な質問例

実態を確認するための質問は、いくつかストックしておくと安心です。「時短勤務から通常勤務に戻るタイミングは、どのように決まりますか」「産休・育休中の評価はどのように扱われますか」「急な子どもの体調不良などで休む場合、どのようなフォロー体制がありますか」。

これらは、面接官によっては即答が難しい質問かもしれません。ただ、こうした質問に対して「確認して後日回答します」と丁寧に対応してくれる会社は、少なくとも制度として仕組みが存在している可能性が高いと考えられます。逆に、質問自体をはぐらかされるような対応が続く場合は、注意深く検討する必要があるかもしれません。

「女性活躍」を掲げる会社を見極める視点

近年、多くの企業が採用ページに「女性活躍推進」「ダイバーシティ推進」といった言葉を掲げています。こうした取り組み自体は望ましいことですが、掲げていることと、実際に運用されていることの間には差があるケースも一般的には存在します。

見極める一つの視点として、数値で語れるかどうかがあります。「女性管理職比率〇%を目指しています」という抽象的な目標だけでなく、「現在の女性管理職比率は〇%で、5年前と比べて〇ポイント上昇しています」というように、経過や実績を数字で説明できる会社は、継続的に取り組んでいる可能性が高いと考えられます。逆に、スローガンだけが先行していて、具体的な数字や制度の説明が出てこない場合は、実態としてまだ整備の途中である可能性も考慮したほうがよいかもしれません。

ライフイベントと転職のタイミングをどう考えるか

結婚や出産といったライフイベントを控えている場合、「今、転職していいのか」と迷う人も多いはずです。これについて、一般的な正解はありません。ただ、採用担当者としての経験から言えるのは、ライフイベントを理由に転職を先延ばしにし続けた結果、転職市場での選択肢が狭まってしまうケースも見てきた、ということです。

逆に、ライフイベントの前後だからこそ、働き方を見直すタイミングとして転職を選ぶ人もいます。どちらが正しいということではなく、自分の状況に合わせて「今、動くべきか」を判断するための情報を、できるだけ多く集めておくことが大切だと感じています。

男性の面接官しかいない場合の心構え

面接に同席するのが男性の面接官だけ、というケースも少なくありません。この場合、女性特有の事情を理解してもらえるか不安に感じる人もいると思います。

正直に言うと、面接官が男性であるかどうかよりも、その会社が制度としてどこまで整備しているかの方が、実質的には重要です。面接官個人が女性のキャリアに理解があっても、会社として時短勤務や育休の運用が整っていなければ、入社後に苦労することになりかねません。逆に、面接官が制度の細部まで即答できない場合でも、人事部門に確認の上で後日きちんと回答してくれる会社であれば、組織として体制が整っている可能性があります。

面接官個人の印象だけで会社全体を判断せず、制度としての実態を確認する視点を持っておくことをおすすめします。

復職後のキャリアパスについても具体的に聞く

育休から復職した後、どのようなキャリアパスが想定されているかも、事前に確認しておきたいポイントです。「時短勤務中でも評価に影響しない仕組みがあるか」「フルタイムに戻るタイミングはどう相談できるか」「時短勤務のまま昇進した実例があるか」。

これらを面接の場で質問すると、面接官によっては答えに詰まることもあります。しかし、その反応自体が一つの情報です。想定していなかった質問に対して誠実に「確認して回答します」と対応してくれるか、曖昧にはぐらかされるかで、その会社が女性のキャリアをどれだけ真剣に考えているかが見えてくることがあります。

「制度はあるが使われていない」というケースに注意

求人票や採用ページに育休・時短勤務の制度が記載されていても、実際にはほとんど利用されていないケースも一般的にはあり得ます。制度の有無だけでなく、「実際に利用した社員が何人いるか」「利用後どうなったか」まで踏み込んで確認することで、制度が形骸化していないかを見極めやすくなります。

面接での「働き方の質問」への具体的な答え方

面接官から「今後のキャリアプランについて教えてください」と聞かれたとき、答え方によって印象が大きく変わります。

NG例
「まだ具体的には考えていません」「そのときの状況次第だと思います」と答えてしまうパターンです。悪意はなくても、面接官には「働き続ける意思がはっきりしていない」という印象を与えかねません。

OK例
「ライフステージの変化があっても、この仕事は長く続けていきたいと考えています。時短勤務などの制度を活用しながらでも、担当している業務でしっかり成果を出し続けたいと思っています」というように、変化の可能性を認めた上で「働き続ける意思」を明確に伝える答え方であれば、面接官の不安を和らげることができます。

育休・時短勤務の制度を比較するときの具体的な視点

複数の企業を比較検討する際、制度の有無だけでなく、次のような点まで踏み込んで確認すると、実態の差が見えやすくなります。

①育休からの復職率が、直近数年でどう推移しているか。②時短勤務者の評価制度が、フルタイム勤務者と別建てになっているか、同じ基準で評価されるか。③復職後に元の部署・職種に戻れる保証があるか、それとも別部署への異動が前提になっているか。④男性の育休取得実績があるか。男性の育休取得が進んでいる企業は、性別を問わず制度を利用しやすい文化が根付いている可能性が高いと考えられます。

これらは求人票だけでは分からないことがほとんどです。面接や条件面談の場で、遠慮せず確認してみる価値があります。

転職で大事な「入口の選択」

どのエージェントを使うかが、転職の結果を大きく左右します。

女性の転職に特化したサポートを受けることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。

また、専門エージェントを利用する場合も、担当者との相性は重要です。同じ会社の情報でも、担当者によって伝えられる情報の深さは変わります。最初の面談で「この担当者はどこまで実態を把握しているか」を確認する意味でも、時短勤務や育休についての質問を投げかけてみるとよいと思います。的確に答えられる担当者であれば、企業側からのヒアリングもしっかり行っている可能性が高いといえます。

ただ、エージェントを選ぶ前に確認すべき「たった一つの質問」があります。それは良いエージェントの選び方の記事で詳しくお話しします。

結婚や出産といったライフイベントは、キャリアにとって足かせではなく、働き方を見直すきっかけにもなり得ます。求人票の言葉だけを信じるのではなく、実態を確認する視点を持つこと。それが、転職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ一番の近道だと感じています。

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面接での「実際の答え方」まで知りたい方へ

このブログでは、面接官が何を見ているかという考え方を中心に書いています。実際の面接でどう答えるか、質問別の回答テンプレートや、職務経歴書・二次面接・条件交渉までを含めた具体的な内容は、noteにまとめています。

元人事の本音|note(記事一覧はこちら)

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