転職エージェントは女性がいい?元人事が教える、担当者選びで性別より大事な3つの基準

「転職エージェントの担当者は、できれば女性の方がいいのだろうか」——登録フォームの前で、そう考えたことはないでしょうか。育児との両立の話をしづらい、体調やライフプランに関わる話を年上の男性担当者にどう切り出せばいいかわからない。かといって「女性希望」と書くのも、なんだか身構えられそうで気が引ける。私は3年間、企業の人事として面接に500人以上立ち会い、書類選考を800枚以上見てきましたが、エージェント経由で来る候補者の方から、この種の迷いを間接的に感じ取ることが何度もありました。担当者との相性ひとつで、面接での話しやすさや準備の質まで変わってくるのを、採用する側の椅子から何度も目にしてきたからです。今日は、採用する側から見えていた景色をもとに、「女性がいいのか」という問いに正直に向き合います。

元人事の視点:「性別」より先に見えていた、もっと生々しい差

先に結論めいたことを言うと、私は採用担当者として、エージェントの候補者を「担当者が男性だったか女性だったか」で区別して見たことは一度もありません。書類や面接でわかるはずもないですし、そこは正直、企業側からはほぼ見えていない領域です。ただし、担当者の「質」による差は、面接の場に驚くほどはっきり出ていました。

例えば、ある候補者は面接の冒頭で「御社の育休復帰後のキャリアパスについて、担当のエージェントさんから聞いていた話と違う気がして」と切り出しました。悪気はまったくなく、素直な疑問だったのだと思います。ただ面接官としては、「事前にすり合わせができていないのだな」という印象を持たざるを得ませんでした。逆に、別の候補者は「エージェントの方から、御社は時短勤務からのフルタイム復帰実績がある方が多いと聞いています」と、具体的な情報を踏まえた質問をしてきました。この差を生んでいたのは担当者の性別ではなく、「候補者の状況をどれだけ具体的に聞き取り、企業側にも事前に確認していたか」という一点でした。

女性の担当者だからといって、育児や体調の話に必ず深く踏み込んでくれるとは限りません。逆に男性の担当者でも、部下や家族の経験から、時短勤務やキャリアの中断について驚くほど具体的に理解している人もいます。私が採用側で見てきた「いい仕事をしているな」と感じる担当者に共通していたのは、性別ではなく、候補者の事情を企業に伝える前にきちんと言語化できているかどうかでした。

とはいえ「話しやすさ」は無視できない——本音と建前

ここで誤解してほしくないのですが、「性別は関係ない」と言いたいわけではありません。育児や生理、妊活、更年期など、同性でないと話しにくいテーマがあるのは事実ですし、それを我慢して転職活動の質が下がってしまうなら本末転倒です。実際、私が人事として面接した女性候補者の中にも、「最初は男性担当者で、産休明けの働き方について踏み込んで相談できず、途中で女性担当者に変えてもらった」と話してくれた方がいました。その後の面接では、企業側への希望条件の伝え方が明らかに具体的になっていたのを覚えています。

つまり「性別で選ぶこと自体」が間違っているのではなく、「性別さえ合えば安心」と思い込んでしまうと、本当に見るべきポイントを見落とすリスクがある、というのが私の立場です。話しやすさを優先して女性担当者を希望するのは自然なことですし、多くの転職エージェントは登録時や初回面談で担当者の変更・希望を伝えることができます。それを踏まえたうえで、次に何を確認すべきかをお伝えします。

もう一つ、私が採用側として印象に残っているケースを紹介します。ある候補者は「同性の担当者だから」という理由だけで最後まで担当を変えず活動を続けていましたが、面接の場で企業側が知りたかった「転職理由の背景」や「希望する働き方の具体的な条件」がほとんど事前共有されておらず、面接時間の大半を基本情報の確認に使うことになりました。一方で、担当者の性別とは無関係に、事前に候補者の状況を細かくヒアリングして企業側に共有していたケースでは、面接がその先の「入社後どう活躍してもらえそうか」という本質的な話から始められました。採用する側にとって、この差はとても大きいものです。

具体的な改善アクション:担当者選びで実際に確認すべき3つのこと

1. 初回面談で「言い換えて」もらう

担当者が自分の状況を本当に理解しているかは、初回面談の中で簡単に確かめられます。自分の希望条件やライフプランを一通り話したあと、「今の話を、私の代わりに企業側にどう伝えますか」と聞いてみてください。ここでふわっとした一般論しか返ってこない担当者は、正直なところ、企業側への推薦文もふわっとしたものになりがちです。私が人事として受け取ってきた推薦コメントも、担当者によって解像度に大きな差がありました。

2. 「女性希望」を伝えるなら、理由もセットで伝える

多くのエージェントサービスでは、登録フォームの備考欄や初回面談で担当者の変更希望を伝えることが可能です。その際、「女性がいいです」とだけ伝えるより、「育児との両立の相談がしやすい方がいい」「体調面の事情を踏まえて話をしたい」など理由を添えて伝えるほうが、結果的にニーズに合った担当者にたどり着きやすくなります。エージェント側も、理由がわかったほうが適切な人をアサインしやすいからです。

3. 相性が悪ければ、性別に関わらず変えていい

これは性別を問わず言えることですが、2〜3回やり取りをしても「求人の提案が的外れ」「質問に対する返信が毎回ずれている」と感じたら、遠慮なく担当者の変更を申し出て構いません。これは決してわがままではなく、あなたの転職活動の質に直結する、正当な希望です。私が見てきた限りでも、担当者との相性が悪いまま活動を続けた候補者は、面接での受け答えにも迷いが出やすい傾向がありました(あくまで私が採用現場で感じてきた印象であり、正式に統計を取ったものではありません)。

初回面談で実際に使える質問リスト

「言い換えてもらう」と言われても、何をどう聞けばいいのかわかりにくいと思うので、私が採用側で「この候補者の担当者は仕事が丁寧だな」と感じた回でよく出ていた質問の型を、そのまま挙げておきます。

  • 「私が今話した希望条件のうち、企業に伝えるときに一番強調してくれるのはどこですか」
  • 「逆に、企業側に伝えにくい、あるいは伝えると不利になりそうな部分はありますか」
  • 「似た状況の方を過去に担当したことはありますか。そのとき何を重視して求人を選びましたか」
  • 「面接前に、企業側にどんな情報を事前共有してもらえますか」

これらに対して、抽象的な相槌ではなく、あなたの発言を引用しながら具体的に返してくる担当者であれば、性別に関わらず信頼していい可能性が高いというのが、私が面接の場で受け取ってきた「準備された候補者」の背後にいた担当者の共通点です。

NG例・OK例で見る、担当者への伝え方

実際に担当者変更や希望を伝える場面を、会話形式で示します。特定の個人の事例ではなく、よくあるやり取りを一般化したものです。

NG例
候補者「なんとなく、女性の担当者の方がいいです」
担当者「かしこまりました、女性のキャリアアドバイザーにお繋ぎしますね」
→理由が共有されないため、新しい担当者も候補者の本当の懸念(育児の両立や体調面など)を把握できないまま面談が始まってしまいます。

OK例
候補者「時短勤務からのフルタイム復帰を考えていて、その相談がしやすい方を希望します。女性の方だとありがたいですが、それより育児と仕事の両立支援に詳しい方を優先してもらえますか」
担当者「承知しました。育児と仕事の両立支援について実績のある求人を多く扱っている者を担当につけます」
→「女性かどうか」より先に「何を重視したいか」が伝わっているため、担当者が変わっても、企業への推薦内容がぶれにくくなります。

担当者を変更したいとき、角が立たない伝え方

「相性が悪いので変えてほしい」と伝えるのは、想像以上に気を遣うものだと思います。私が候補者から間接的に聞いた話でも、「担当者を変えると、その後の対応が悪くなるのではないか」と不安になり、我慢して活動を続けてしまう方が少なくありませんでした。ですが、エージェント側にとって担当者変更の申し出はそれほど珍しいことではなく、多くの場合、サービスの運営元(担当者本人ではなく、そのエージェント会社の窓口やお問い合わせフォーム)に連絡すれば対応してもらえます。

伝え方としては、担当者個人への不満として伝えるより、「自分の希望条件により合う方を探してほしい」という前向きな理由にするほうが角が立ちません。例えば、「今の担当の方には丁寧に対応いただいているのですが、○○業界により詳しい方に代わっていただくことは可能でしょうか」といった形です。理由を職務内容や専門性の話にすることで、担当者個人の人格を否定する形にならず、双方にとって気まずさの少ないやり取りになります。私が採用側として見てきた限り、担当者を適切なタイミングで変えた候補者ほど、その後の面接での準備状況が具体的に改善しているケースが多くありました。

男性の転職者にとっても無関係ではない話

このブログの読者は男性の方が多いと思いますが、この話は女性特有のものとして読み流さないでほしいと思っています。介護との両立、単身赴任、持病の通院など、「担当者に事情を具体的に理解してもらえるかどうか」で転職活動の質が変わる場面は、性別を問わず存在します。私が面接した男性候補者の中にも、親の介護のために勤務地の希望が絶対条件だった方がいて、その事情を企業側に事前にきちんと伝えていた担当者のケースでは、面接がその前提で自然に進んでいました。逆に伝わっていなかったケースでは、面接の場で候補者が一から事情を説明し直す羽目になり、限られた面接時間の多くをそこに使ってしまっていました。担当者の質を見極める視点は、性別に関わらずすべての転職者に関係があります。

まとめ

「転職エージェントは女性がいいのか」という問いへの、私なりの答えはこうです。話しやすさを理由に女性担当者を希望すること自体は、まったく問題ありません。ただし、それだけで安心せず、「自分の状況を企業側に言い換えて伝えられているか」を初回面談で確認すること。この一手間が、性別以上に転職活動の結果を左右します。担当者は、あなたと企業をつなぐ「翻訳者」です。その翻訳の精度を、性別ではなく中身で見極めてください。

最後にもう一つだけ。この記事は「女性担当者を希望する人は間違っている」と言いたいわけでは決してありません。むしろ、話しやすい相手を選ぶという判断は合理的です。ただ、採用する側の立場から見えていた景色として、「担当者の質」が転職活動の成否に与える影響は、性別という一つの軸だけでは測れないほど大きいということを、私自身の経験としてお伝えしておきたいと思いました。あなたが次に担当者と話す機会があれば、ぜひ「言い換えてもらう」質問を一つ試してみてください。

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