職務経歴書の書き方に自信が持てない40代へ|元人事が教える「伝わる書類」の作り方

「これで本当に通用するんだろうか」。日曜の夜23時、リビングのテーブルでノートパソコンを開いたまま、職務経歴書のテンプレートを前に手が止まっている――。40代で転職活動を始めた方から、こういう相談を何度も受けてきました。「新卒のときは大学のキャリアセンターが添削してくれたけど、この歳になると誰も見てくれない」「妻に見せても『まあいいんじゃない』としか言われない」。周りに気軽に聞ける相手がおらず、かといって今さら誰かに教えを乞うのも気まずい。今日は、私が事業会社の人事として書類選考に携わってきた中で感じてきたことを、できるだけ正直にお伝えします。

元人事の視点:採用担当者は最初の数十秒で何を見ているか

採用が繁忙期に入ると、1日に何十通もの職務経歴書に目を通す日があります。正直に言うと、ファイルを開いた最初の数十秒――冒頭の要約と全体のレイアウト――で、その後じっくり読み込む心構えになるか、流し読みで終わるかがかなり変わってしまいます。これは私個人の実感であり、すべての採用担当者や企業に当てはまると断言はできませんが、他社の採用担当者と話していても似た感覚を持つ人は少なくありません。

よくあるのが、職歴を古い順にただ時系列で並べただけで、3ページ目まで読んでも「結局この人は何が得意で、何をしたい人なのか」が分からない書類です。一方で、冒頭に3〜4行の職務要約があり、「何をしてきた人か」が一目で分かる書類は、そのあとの経歴も自然と頭に入ってきます。これは能力の差ではなく、単に「読み手にどう伝わるか」を意識したかどうかの差だと感じています。

特徴的だったのは、ある面談で「職務経歴書、正直テンプレートをそのまま埋めただけなんです」と自分から話してくれた方がいたことです。その方は口頭で話を聞くと、実は部門を横断したプロジェクトを任され、若手の育成にも関わってきた、書類だけでは伝わっていなかった経験をたくさん持っていました。書類と実態にギャップがある方は、決して少なくないというのが実感です。

また、40代・50代の方に多いのが、経験が豊富なあまり情報を詰め込みすぎてしまうケースです。A4で4枚、5枚になっている書類も見かけますが、採用担当者も限られた時間で多数の書類を見ているため、要点が絞られていない書類は結果として伝わりにくくなってしまいます。これは「経験が足りない」という話では全くなく、むしろ経験がありすぎるからこそ、取捨選択が必要になるという話です。

具体的な改善アクション:今日から直せる4つのポイント

抽象的な話だけでは何も変わらないので、具体的に見直せるポイントを挙げます。

  • 冒頭に「職務要約」を3〜4行で入れる:「〇〇業界で15年、営業から拠点マネジメントまで一貫して従事」のように、まず全体像を示す。読み手はここで「誰の話か」を把握します。この3〜4行だけで、その後の数ページの読まれ方が変わると言っても大げさではありません。
  • 実績は数字とセットで書く:「売上に貢献」ではなく「担当エリア〇店舗の売上を前年比で改善」のように、自分が実際に持っている数字を具体的に書く。数字がない業務でも「関わった人数」「期間」「予算規模」など、定量化できる要素は意外と埋もれています。
  • 枚数はA4で2〜3枚を目安にする:経験が多い方ほど、直近10年程度の経験は厚めに、それ以前は簡潔にまとめるなど、メリハリをつける。すべてを詳細に書く必要はありません。
  • 応募先ごとに「自己PR」だけは書き換える:職歴の事実は変わりませんが、どの経験を前面に出すかは応募先によって変えて構いません。同じ文面を使い回した自己PRは、採用側にもなんとなく伝わってしまうものです。

イメージが湧きやすいように、よくある書き換えの一例を挙げます。

書き換え前:「営業として法人顧客を担当し、日々の業務に真摯に取り組んでまいりました。」
書き換え後:「法人顧客約60社を担当し、既存顧客の契約更新率の維持と、新規開拓を並行して推進。3年間で担当エリアの取引社数を拡大した。」

後者は決して特別な実績を新たに作り出しているわけではなく、前者と同じ経験を、具体的な事実に置き換えて書いているだけです。担当社数や期間といった数字は、多くの方が自分では「わざわざ書くほどのことではない」と考えて省いてしまいがちですが、読み手からすると、この程度の情報があるだけで解像度が大きく変わります。

一つ付け加えると、これらを自分一人で客観的に見直すのは、正直かなり難しい作業です。自分が「当たり前にやってきたこと」ほど、他人から見た価値に気づきにくいからです。冒頭で紹介した方も、口頭で話を引き出さなければ、その経験は書類の上では存在しないままでした。第三者に一度読んでもらう、あるいは転職エージェントの添削サービスを使ってみるというのも、選択肢の一つとしてはあると思います。

こんな書き方は要注意:よくある3つのパターン

面談の場でよく目にする、もったいない書き方のパターンも紹介しておきます。誰か特定の一人の話ではなく、複数の書類に共通して見られる傾向として捉えてください。

  • 「担当していました」で終わる文:「新規開拓営業を担当していました」だけでは、その人がどの程度の規模で、どんな成果を出したのかが伝わりません。「何を」「どのくらいの規模で」「どうなったか」まで書いて、初めて一つの実績になります。
  • 謙遜が伝わりすぎてしまう表現:「微力ながら貢献できたと思います」「至らない点も多かったですが」といった謙遜の言葉は、日本語としては自然でも、書類上では単に「実績があいまいな人」という印象を与えてしまうことがあります。謙遜は面接で伝わる態度に任せ、書類では事実を淡々と書く方がむしろ誠実に伝わります。
  • 資格・スキル欄が経歴と無関係に羅列されている:関連性の薄い資格を並べるより、応募する仕事に近い経験・スキルを優先して上に配置するだけで、読み手の受け取り方は変わります。

いずれも、経歴そのものを盛る話ではなく、「すでに持っている事実を、どの順番で、どんな言葉で伝えるか」という編集の工夫です。これは経験年数や実績の大小に関係なく、誰でも今日から手を入れられる部分だと思います。

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まとめ

職務経歴書は「経歴の正確な記録」であると同時に、「初対面の相手に自分を伝える文章」でもあります。書いてある内容そのものより、「読み手にどう伝わるように書くか」で印象は大きく変わります。今日挙げた4つのポイントは、経歴を盛ることでも、話を大きく見せることでもなく、すでにある経験を正しく伝わる形に整理するだけの作業です。日曜の夜、空白のカーソルを前に手が止まっている方は、まず冒頭の職務要約3行だけでも書いてみることから始めてみてください。それだけで、次に開いたときの手の止まり方が変わるはずです。焦って完璧なものを一晩で仕上げようとしなくて大丈夫です。少しずつ書き足し、読み返すたびに整えていく。そのくらいのペースで十分だと、私は思っています。

面接での「実際の答え方」まで知りたい方へ

このブログでは、面接官が何を見ているかという考え方を中心に書いています。実際の面接でどう答えるか、質問別の回答テンプレートや、職務経歴書・二次面接・条件交渉までを含めた具体的な内容は、noteにまとめています。

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