「今から転職活動を始めても、もう出遅れているんじゃないか」――7月も終わりに近づいたこの時期、そんな焦りを感じている方は少なくないと思います。夏のボーナスを受け取って退職を決意したものの、周りは「9月採用」「10月入社」という言葉が飛び交っていて、自分だけ置いていかれているような気持ちになる。私自身、人事として面接をしていた頃、この時期に応募してくる方から「遅すぎますよね」と申し訳なさそうに言われることが何度もありました。結論から言うと、7月末から動き始めるのは遅くありません。ただし、闇雲に動くと本当に間に合わなくなります。今日は、元人事の立場から見た「今からのスケジュールの組み方」を具体的にお話しします。
なぜ7〜8月に「動いていない人」が多いのか
年間500人以上の応募者と接してきた中で気づいたのは、7月から8月にかけては、応募数そのものが目に見えて減るということです。理由は単純で、多くの人が「夏休みが終わってから本気を出そう」と考えているからです。私が採用担当をしていた会社でも、7〜8月は月間応募数が他の月の6割程度まで落ち込むことがざらにありました。
一方で、企業側の採用計画はこの時期にこそ動いています。多くの企業は夏の間に選考を進め、10月1日付の中途入社を目指します。理由は、下半期のスタートに合わせて人員計画を組んでいる会社が多いからです。つまり、応募する側の動きが鈍る時期に、実は求人票だけは静かに増えているという、需要と供給がねじれた状態が起きやすいのです。私が面接官をしていたとき、8月上旬に応募してきた候補者に対して「なぜこの時期に応募したのか」を聞くと、「求人が減る時期だから狙い目だと思った」と答えた人が採用に至った例を何度か見てきました。狙って動くか、何となく動くかで、見える景色が変わります。
元人事が見た「間に合う人」と「間に合わない人」の分かれ目
これは断定できる話ではありませんが、私が面接の場で感じてきた傾向として、10月入社に間に合う人と間に合わない人には、ある共通点がありました。それは「自己分析と応募書類の準備を、情報収集と同時並行で進めているかどうか」です。
面接で「これまでの実績を教えてください」と聞いたとき、その場で「えっと……特にこれといったものは……」と言葉に詰まってしまう40代の候補者を、私は何人も見てきました。悪気があるわけでも、実力がないわけでもありません。単に、忙しい日常の中で自分の仕事を振り返る時間を後回しにしていただけなのです。逆に「前職では在庫回転率を17%改善しました」「担当していたチームの離職率を年間で3人分減らしました」というように、数字と固有名詞で語れる人は、たとえ同じ経歴年数でも一段階印象が変わります。これは私の個人的な感覚ですが、面接の持ち時間が限られている以上、最初の3分でどれだけ具体的に語れるかは、その後の評価に確実に影響していたと思います。
逆に「間に合わなくなる人」に共通していたのは、応募書類の準備を「時間ができたらやろう」と先送りにし、気づいたら9月後半になっていたケースです。これは個人の能力の問題ではなく、単純にスケジュールの見積もりミスです。40代の転職は20代・30代に比べて選考プロセスが長くなりやすく、書類選考から内定まで平均して1.5〜2ヶ月程度かかることも珍しくありません。逆算すると、10月入社を狙うなら、遅くとも8月中旬までには応募を開始している必要があります。
スケジュールを立てる際に陥りやすい3つの落とし穴
面接官として多くの方の転職活動を見てきた中で、スケジュールを崩してしまう典型的なパターンが3つありました。
1. 「情報収集」を「行動」だと錯覚してしまう
求人サイトを眺めたり、口コミを読んだりする時間は大切ですが、それ自体は前進ではありません。私が面接した候補者の中には、「3ヶ月前から情報収集はしていました」と言いながら、実際の応募は面接の2週間前だった、という方もいました。情報収集と応募準備は、同じ期間に並行して進めるものだと考えてください。
2. 在職中の忙しさを理由に、書類作成を先延ばしにする
在職しながらの転職活動は体力的にも時間的にも大変です。だからこそ、最初に「いつまでに何を終えるか」を紙に書き出しておくことをお勧めします。私が良い印象を持った候補者の一人は、面接の冒頭で「自分なりに逆算スケジュールを立てて動いています」と話してくれました。準備段階からすでに、計画性という強みを見せてくれていたのです。
3. 一つのエージェント・一つの求人媒体に絞りすぎる
選択肢を絞ることは悪いことではありませんが、40代の転職は公開求人だけでなく非公開求人の比率も高い傾向があります。窓口を複数持っておくことで、条件に合う求人に出会える確率は単純に上がります。
今日からできる具体的なアクション
ここまでの話を踏まえて、7月末の今からできる現実的なスケジュールを提案します。
7月末〜8月第1週:自己分析と実績の棚卸し
「特にありません」と言わずに済むように、直近3〜5年の仕事を数字と固有名詞で書き出してください。売上、削減率、担当人数、期間――どんな些細な数字でも構いません。ここで手を抜くと、面接本番で言葉に詰まることになります。
8月第2週〜第3週:エージェント登録と求人の絞り込み
複数の転職エージェントに登録し、この時期に出ている求人の傾向を把握します。8月は応募者が少ない分、担当者からの提案も丁寧に受けられる時期です。相性の合うエージェントを見つけておくことが、その後の選考をスムーズに進める鍵になります。
8月末〜9月:書類提出と面接ラッシュへの準備
9月は選考が集中し、面接の日程調整が一気に忙しくなります。8月末までに応募を終えておけば、9月は面接対策に集中できます。
10月:内定・退職交渉
このスケジュール通りに進めば、10月入社という当初の目標に無理なく到達できます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、業界や職種、個人の状況によって前後することは正直にお伝えしておきます。
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まとめ:焦る必要はない、ただし「後回し」は禁物
7月末という時期に転職活動を始めることは、決して遅くありません。むしろ応募者が減るこの時期は、じっくり比較検討してもらえるチャンスでもあります。大事なのは「情報収集だけして満足する」のではなく、自己分析と応募書類の準備を同時に進めることです。10月入社という一つの目安を置きながら、まずは今日、これまでの仕事を数字で振り返るところから始めてみてください。その数字が、面接室であなたを言葉に詰まらせない武器になります。
「もう7月も終わりだから」と諦める必要はありません。私が見てきた限り、時期そのものよりも、動き出すまでの迷いの長さのほうが、結果に大きく影響していました。今日この記事を読んだこと自体が、すでに一歩目です。次の一歩は、紙一枚に、これまでの仕事を書き出してみることから始めてみてください。
面接での「実際の答え方」まで知りたい方へ
このブログでは、面接官が何を見ているかという考え方を中心に書いています。実際の面接でどう答えるか、質問別の回答テンプレートや、職務経歴書・二次面接・条件交渉までを含めた具体的な内容は、noteにまとめています。

